人間にふさわしい住居の充足を国家の住宅政策として準備させるのである。ここに、いみじくも表現しているように、ドイツやアメリカをはじめ住宅先進国において共通しているのは、住宅の確保を国民の基本的な人権として明確に位置づけていることだ。そして、それぞれに政策の違いはあっても、基本的な人権に関わる重要課題として、住宅問題に取り組んでいる姿勢も共通している。住宅問題に対するそうした認識が、国にも国民にも希薄だったことが、衣食が満たされたなかで、ひとり住宅だけが貧しく取り残するという、今日の日本の状況を生んだといえるだろう。かって、豊かさをはかる目安としてエンゲル係数という言葉がよく使われた。所得に占める飲食費の割合を指し、エンゲル係数が家計に占める割合が低いほど、その家は豊かであるといわれたものだ。しかし、これからは、アフォーダビリティー係数といったものが、豊かさの指標になることを、最新のアメリカの住宅事情は私たちに教えてくれている。住宅は、人が家族生活を営む舞台だ。大家族で住むのか、小家族で住むのかによって、その舞台空間のつくり方は変わってくるだろう。変わる要素は、家族の構成人数だけではない。
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